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ダイハード

 

「いいぜ、サウザー。子どもたちを苦しめてしか前に進めないって言うのなら、まずはそのふざけた幻想をブチ殺す!」


長ったらしい説教の後、上条当麻はそう叫ぶと同時にサウザーに向かって駆け出し、右腕を振りかぶった。
だけど哀しいかな、その勇ましいまでの行動は、ただの一瞬で終わってしまった。
子どもと大人などという僅かな隔たりで表現できるはずもない、圧倒的な身体能力の差が二人にはあったのだ。
上条の腕はサウザーによって、いとも容易くに掴まれ、その身体は上空へと放り投げられる。
そして地面に落ちるまでの短い間で、サウザーの右手に持つ一筋の鞭が、何十もの固まりとなって上条を襲い、彼を血達磨としたのだった。


上条の皮膚は切り裂かれ、血は弾き飛び、肉が露となって、その痛みを知らせてくれる。
周りにいた子どもたちは、その凄惨さに眉を顰め、中には涙すら浮かべる者もいた。
だけど、上条はよろよろと立ち上がりながらも、そんな子どもたちの頭を優しく撫で、笑ってやった。


「大丈夫。こんな傷、屁でもねえよ」


上条当麻。髪型はウニのようにツンツンと逆立て、粋がってみせても、その身体は普通の高校生の域を出ない。
顔だって、格好つけて真面目な表情を浮かべてみるが、それは精悍とは程遠い。ハッキリ言って、彼など凡百の内の一人だ。
当然、そんな人間が上述したような怪我を負えば、痛みの余り、泣き叫び、地面を転び回り、失神にすら至る。
でも、上条は苦痛を振り払うかのように歯を食いしばって、それに耐え、子どもたちを背に毅然とサウザーを見つめた。


サウザー。金色を総髪を後ろに流し、阿修羅像を鋳型として作ったような頑強で、筋骨隆々とした肉体の大男だ。
能面のような顔に表情こそないが、その双眸にある瞳には、至って残酷とも思える冷たい光がある。
そしてそれを理解するのには、初対面である上条にとっても、そう難しくなかった。
何故ならサウザーはNPCの子どもたちをかき集め、彼らに容赦なく鞭を振るい、皇居桜田門の石垣を崩し、どこかへと運ばせていたのだ。
その目的が何であれ、子どもに暴力を振るなど、上条当麻の許せるところではない。


「テメェ、いい加減にしろよ!!」


怒りに駆られた上条の叫びに対し、サウザーは返答と一緒に再び残酷なる鞭を向かわせた。


「いいか、よく見ておけ、小童ども!! この聖帝サウザーに刃向かうと、どうなるか、その小僧の身体でもって教えてやる!!」

「グァッッ……!!」

 

音を振り払い、猟犬のようにしつこく上条の身体に纏わりつく鞭。
ついに上条の口から漏れた声と共に、彼の肉体から栓を失ったように血が地面に流れ出していった。
だけど、上条は苦痛を露にしても、そこで無様に大地に倒れることなく、二本の足をサウザーに向けて、一歩一歩確実に動かしていった。
ここで倒れてしまったのなら、次にサウザーの鞭の餌食となるのは、周りにいる子どもたちだ。


もしかしたら、上条の頑張りなど徒労なのかもしれない。この殺し合いの幕を上げたやらない夫の言によれば、ここはバーチャル空間だという。
それが事実だとしたら、子どもたちは現実世界にはいない単なるプログラムということも十分にありうるだろう。
しかし今、目の前にいる子どもたちは、サウザーに怯え、泣き叫んでいるのだ。
その現実を目の当たりにして、そのままに放っておくことなど、上条当麻にどうしてできようか。


歩みを進めるごとに、サウザーの鞭の威力は増す。上条は肉は削ぎ落とされ、骨さえ見える部分も出てきた。
身体中は血塗れ。足元も覚束なく、お世辞にも格好いいなどとは言えない。
だけど、そこから覗かれる瞳は依然と翳ることなく、それどころか逆にサウザーの攻撃が鋭くなるほど、光が強くなり、その覇気ある目でサウザーを射抜いた。
そしてその不撓不屈の意志が功を奏したのだろうか、僅かに緩んだサウザーの鞭は上条の手に掴まれることになった。


「ぬぅ、小僧……!」

「テメェの攻撃なんざ、効くかよ! 子どもをいじめることでしかできない弱虫のサウザー!!」

「フ、フハハハ、よくぞ吼えた、小僧! だが、この聖帝サウザー、アリの反逆も許さぬ! 貴様が待つのは、血の粛清のみだ!!」

「うるせえよ!! んなモン、知ったことか! 子ども相手に暴力で偉ぶる? それで一体何になる! 
それだけスゲェ身体を作り上げたのは、一体何の為だ!? 辛かったはずだ、苦しかったはずだ。そうしてやっと手に入れた力で、何も出来ない子どもを痛めつける。
テメェのやりたかったのは、こんなことか!? 違うだろう? そうじゃないだろう? 本当に強いってのは、こんなことじゃないだろう!?
いいか、サウザー! 強いってのは、苦しみや哀しみを背負うことの出来る奴のことだ。テメェがそうやって子どもたちに全てを投げ出しているのは、単なる弱さの露呈でしかねぇ!
だから、テメェはこんなどこにでもいる俺みたいなガキ一人倒せない弱っちいのさ!! まだテメェがそのことを分からないっていうのなら、いいぜ、サウザー。
俺は何度だって、叫ぶ!! 俺は何度だって、テメェの前に立つ!! 俺は何度だって、その幻想(勘違い)をブチ殺してやる!!!」


上条は一足飛びにサウザーの懐に入り込み、力一杯右腕を振りかぶった。
とはいえ、どれほど意気軒昂に叫んだところで、両者の差が埋まるわけでもない。
サウザーはあまりにスロウな動きの上条に対して嘲笑と共に反撃の手を挙げ、そしてそこから不思議と上条の拳を自らの頬で無防備に受け止めた。


炸裂。そう思えるほど圧倒的なエネルギーの奔流がサウザーの身体の中で荒れ狂った。
サウザーの巨体は木っ端のように軽々しく吹っ飛び、それでも収まりきらない運動量は何メートルもサウザーを転ばしていく。
一介の高校生には到底及びつかないような威力である。しかし、それほどの破壊力を体現するまでに、上条当麻はサウザーに怒りを抱いていたのだ。


尤も如何に奇跡を起こそうと、上条当麻は人間である。執拗に痛めつけられ、多くの血を失った肉体を、いつまでも維持できるわけではない。
サウザーが立ち上がるのと同時に、上条の足から力は抜け、その身体は重力に任せて、情けなく地面に倒れていった。
 

「大丈夫」

「……あん?」


いつまでもやってこない地面の衝撃、そして突如上から掛けられた声に、上条は重くなった瞼を開けて確認してみる。
そこにいたのは、上条の身体を抱え、温和な眼差しを送る一人の青年であった。
身長を180センチメートルのサウザーが思わず見上げてしまうほどの大男であり、サウザーが小動物とも思えてしまうほどの隆起した筋肉を、その身に飾っている。
サウザーが睨むその青年の存在こそ、圧倒的に上を行くはずのサウザーが、上条の拳をまともに受けた理由でもあった。
反撃として上条を切り刻むはずだったサウザーの腕は、突然伸びてきた丸太の如き腕で掴まれる。
そしてそこから電流のようなものが流れ、サウザーの身体の自由を奪ったのだ。


「あんたは……?」

「貴様、何者だ!?」


上条とサウザーから同時に放たれる疑問に青年は胸を張り、毅然と答える。


「アジア人の少年よ、先程の言葉は震えたぞ、そして刻まれたぞ、君の熱き心。僕の名前はジョナサン・ジョースター。そして一人の紳士として、約束しよう。
サウザー、この少年に代わって、この僕が君の幻想をブチ殺す!!」


サウザーに向かって突き出されたジョナサンの拳は、上条当麻のように優しく、それでいて彼以上に力強いものだった。




【1日目・深夜/F-7 千代田区 皇居 桜田門前】


【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
【状態】全身裂傷、血塗れ、失血による貧血、ほとんど素っ裸
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:この殺し合いを止める
1:サウザーの幻想をブチ殺す
2:殺し合いを止めるための仲間を募る


【ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:この殺し合いを止める
1:サウザーの幻想をブチ殺す
2:殺し合いを止めるための仲間を募る


【サウザー@北斗の拳】
【状態】健康、頬がヒリヒリ
【装備】双条鞭@北斗の拳
【道具】支給品一式、
【思考】
基本:聖帝十字稜(愛と情の墓標)を建てた後、やらない夫抹殺を宣言する
1:刃向かうものは皆殺し
【備考】
※千代田区 皇居 桜田門前には多数の子どもが集まっています



【支給品情報】
・双条鞭@北斗の拳
カサンドラのウイグル獄長が使っていた二本の鞭。人間の胴体を切断するだけの威力と強靭さを併せ持つ。
またウイグル獄長の巨体に見合うサイズなので、鞭は数メートルの長さがあると思われる。

 

 

010:真・バトロワ無双 投下順 012:
  時系列順  
START 上条当麻  
START ジョナサン・ジョースター  
START サウザー  

 

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