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Fake World? True World?

「外の世界って信仰が失われつつあるって聞いたけど……全然そんなことないじゃない」

 コンクリート製のジャングルに覆われた都市の一角にぽつんと存在する神社の境内に一人の少女がいた。
 髪に結わえられた大きな赤いリボン、そして身にまとう紅白の装束から彼女も神職に就く人間だと推測される。
 彼女の名は博麗霊夢、またの名を楽園の素敵な巫女。

「さすが現役の祟り神を祀る神社だけあって信仰もすごいってわけね。……この一割でもいいからうちの神社に客よこしなさいよ」

 丹に塗られた鳥居や社殿は手入れが行き届いており、この神社が絶えず参拝客に恵まれ豊富な運営資金を得ている証拠でもある。
 霊夢が巫女として勤めている博麗神社といえばまともに参拝に訪れる者もなく、賽銭箱も閑古鳥。
 たまに客が訪れたと思ったら厄介な面倒事を持ち込んできたりというわけである。

(……っと、今はうちの神社の閑古鳥ぶりを嘆いている場合じゃないのよね)

 午後の昼下がりの陽気に当てられ昼寝をしていた霊夢だったが、気がつくとそこは見慣れた博麗神社の境内ではなく一面闇の中。
 そこで告げられた謎の男による殺し合いの開催と早々に命を散らせた青年の姿。

 ――今度の異変はいつもと違う。
 幻想郷において数々の異変を解決してきた霊夢であったが今回は一筋縄ではいかない出来事だと確信していた。

「ちょっとー紫ーっ。いるんなら出てきなさいよー」

 いつもならこうしてスキマから八雲紫が胡散臭い笑みを浮かべて現れるはず。
 が、霊夢の呼びかけは静まりかえった深夜の神社に空しく響くだけだった。

「やっぱ出てこないか。やはり今回の件は紫にとっても予想外ってことかしら」

 八雲紫――千年を生きる大妖怪にして幻想郷に住まう妖怪の賢者。
 その能力をもってすれば月と地球ほどの距離すらも空間を飛び越え瞬時に移動する。

 最初、この異変は紫が糸を引いているのではないかと霊夢は推測したがその考えはすぐに打ち消された。
 なぜなら紫がこのような騒動を引き起こす理由が考えられない。
 とにかく胡散臭く、何を考えているかわからない紫であるが彼女は誰よりも幻想郷の存続を第一に考えている。
 以前とある天人が引き起こした騒動の時、博麗神社に打ち込まれた要石の存在を知った紫はその飄々とした態度を一変させ激昂したことがある。

博麗神社は外の世界と幻想郷を隔てる結界の要。それの消失は幻想郷と外界が地続きになるということ。
 それはいずれ幻想郷に住まう妖怪たちに緩慢な死を招く。
 そのような幻想郷の維持に致命的な綻びを生み出す要石という楔を打ち込もうとした行為は紫にとって許すことのできない所業なのである。

 ゆえに紫が結界の維持管理の一翼を担う霊夢を殺し合わせるなんてことは考えられない。
 霊夢の死も幻想郷にとって致命的な綻びを生じさせる原因となる。
 だから紫は今回の件に関わってはいない。むしろ積極的に解決に関わらなければならない立場なのだ。

「紫が出てこられないってことは、相当厄介な相手か……」

 幻想郷において紫に匹敵する力の持ち主は限られている。
 月に住む月人か外の世界からやってきた神々ぐらいなものだろう。
 前者は高度な科学力を駆使し、妖怪はおろか地上に棲まう神々すらも圧倒する規格外の連中である。
 しかし月人が黒幕というのも考えにくい。
 とにかく月人たちは地上を穢れた地として忌み嫌い、触れることすら忌避する。
 そんな潔癖症の連中が集めた者を最後の一人まで殺し合わせるという穢れの極地にある蟲毒のようなことを行うとは思えない。

(だったら山の神社の連中と考えるべきかしら)

 少し前に信仰が失われた外の世界から神社ごと幻想郷に引っ越してきた二柱の神とその巫女。
 彼女らは妖怪の山に居を構え、妖怪たちの信仰を集める過程で商売敵である霊夢と一悶着あったが現在はそれなりに良好な関係である。
 しかし――あの神々は何かとトラブルの種を幻想郷に振りまいている。
 最近幻想郷で起きた異変はみんな元を辿れば山の神社――守矢神社の連中が切っ掛けとなって起こっている異変ばかりなのである。

 無論守矢神社が今回の件に関わっている証拠はない。
 早苗がいれば一発とっちめてふん捕まえて話を聞けば早いのだが生憎ここに早苗がいるという保障はない。
 慣れない外の世界に放り出された霊夢にとって八方塞がりの状態であった。

 賽銭箱の側に腰を下ろしていた霊夢はふと何かに気づいたかのように立ち上がって周囲を歩き回る。
 人気のない深夜の神社だが耳を澄ませば神社の外を走る車の音、いまだ灯りが消えないオフィスビル。
 神社の外には不夜城たる街の――東京の生活臭が広がっている。
 むしろこの神域たる神社が外界から隔絶された異界に相応しい。

 ――それが極めて現実に似せた仮想世界であろうとも。

 

 霊夢は以前に霖之助から仮想現実についての話を聞いていたことを思い出していた。
 何でも外の世界では科学という理によって創造されたコンピューターなる呪具を用いて異界を作り上げることができるのだと。
 その異界は生身では一切干渉されぬ結界に覆われているも、人間はアバターなる式神を用いることで様々な用途にその異界を利用している。
 さらに科学が進んだ世界を描写された空想小説では生身の人間そのものが式神と化してその異界で活動しているというのも少なくはない。

「本物でなくとも巧妙に模倣された存在は本物と同じ力が宿る――か」

 呪術において基本的な概念であるそれを極限にまで突き詰めた存在がこの世界なのだろう。
 科学の理による呪術はまるごと一つの現実を再現した。
 この神社も本物ではないが、本物と寸分違わぬ作りを再現しているがゆえに神はそこにいる。
 そして――霊夢自身も本物ではなく博麗霊夢という人間の行動様式を編み込まれた式神にすぎなくて、本物は博麗神社の境内で昼寝したままという可能性も無きにしも非ず。

 しかし仮にこの身体が、この意識が模倣された存在であろうともここに博麗霊夢の個我が宿っているのならばそれは本物と同じ。
 いうなれば御神体に神力を分けた状態の分霊と言っても差し支えない。
 神は何分割されようとも元と同じ力を持つ。その域に人間がたどり着けたというだけというのが霊夢の考えだった。

「外の世界の技術も大したものよねー。こりゃますます守矢の連中がキナ臭くなってきたかしら」

 何かと外の世界の技術を幻想郷に持ち込む守矢神社の神々こそこの騒動を引き起こした黒幕と言えようか。
 第一容疑者は守矢神社の面々ととりあえずの方針の決めた霊夢だった。

「――あん?」

 ふと人の気配がして霊夢は後ろを振り返る。
 入り口の鳥居から賽銭箱に向かう石畳の参道にいつまにかに人影が立っていた。
 年の頃は十代半ばの少年だろうか。学生服と呼ばれる外の世界の寺子屋に通う者が着用する服を纏っている。
 神社の街灯に浮かび上がるその顔は端正な顔立ちであるも、どこか無個性で能面のような冷たい印象があった。

「こんな夜更けに参拝客かしら? おみくじならそこ、お守りならそっちで買えるわよ――って私はここの神社の巫女じゃないっての! まったく職業柄条件反射的に言っちゃったじゃないの……ぶつぶつ」

 神社にやってくる者は無条件で参拝者。ゆえに無意識に営業トークをしてしまう悲しさ。
 そんな霊夢を不思議そうに少年は見つめ口を開いた。

「えっと……コスプレ?」
「どこをどーみたらそんな風に見えるのよ! 正真正銘の巫女よ巫女!」
「じゃあそこのお守りください」
「えっと……いくらだったかしら――ってさっきの私の話聞いてなかったの!?」
「やっぱりコスプレ?」
「ちーがーうーっ! 私はれっきとした巫女だけどこの神社で働いてる巫女じゃないっつーの!」
「悪い、ちょっと冗談がすぎた」
「あんた……人をおちょくるのもいい加減にしなさいよね……」
「……ごめんなさい」
 
 鋭い眼光で少年を睨み付け詰め寄る霊夢に気圧された少年は素直に謝罪の言葉を口にする。
 初対面の人間にこんな言動をとるとはよほどの馬鹿か大物か。
 少し魔理沙の相手をさせてやりたいと思う霊夢。

「――で、あなたどっちなの?」
「どっちって……?」
「無害なこの街の住人かそうじゃないか――もっともただの住人にしてはちょいっとばかり変わった力持ってるようだけど、あなた」
「――ッ!?」
「それとも――あのやらない夫とかいうやつの手先……だったり――してッ!」

 素早く後方に跳躍した霊夢は目の前の少年に向かって弾幕を放つ。
 当たったところで死にはしない。悪くて気絶する程度に手加減した弾幕で様子を伺う。
 少年が何らかの能力を有しているのは確か、そして霊夢に敵対するか存在か否かを見極める。言わば威力偵察を兼ねての先制攻撃。
 霊夢の放った弾幕が少年に群がり――

「イザナギッ!」

 少年がその名を口にした瞬間。少年の背後に学生服のようなものを纏った異形の巨人が姿を現す。
 国産みの旧き神の名を冠した巨人は身の丈ほどもある太刀を振るい霊夢の弾幕を迎撃する。

(こいつ――私と同じ――!? いや微妙に違う感じだけど……)

 すべての弾幕を撃墜した巨人は太刀を構え霊夢と対峙するもそれ以上攻撃を仕掛ける様子は見られない。
 おそらく巨人を召喚した少年も困惑しているのだろう、追撃するか否か。
 これ以上はお互い流血沙汰、引いては本当に殺し合いに発展しかねない。
 殺し合いそのものについては否定も肯定もしない霊夢であったが無駄に血を流すのは避けておきたい。

「(ここらで潮時……ね) はいはいやめやめっ! 私の負けでいいからそれを引っ込めてっ」
「えっ……」
「私の負けってこと。それに――この神社でそれはよくないわ。この神社に祀られるはかつて朝廷に弓引き無念の想いと共に討たれ、そして逆賊の汚名を着せられた荒ぶる神。
 例え国産みの偉大なる神といえども皇祖神に連なる一柱。いたずらにここの神様を刺激するものではないの。わかったらさっさとそれを引っ込めなさい」
「はあ……」

 少年はいまいち霊夢の言っていることを理解していないようだったが、素直に頷き巨人を納める。
 少なくともお互い敵意はないことを確認したようである。
 

「まるで本物の巫女さんみたいだ」
「私は正真正銘、神職に就く巫女って言ってるでしょ。まあいきなり仕掛けて悪かったわ」
「別にいい」
「で、あなたも神降ろしを使えるなんてね。しかも国産みの神様ときた」

 霊夢の脳裏にとある月人と神降ろし勝負でコテンパンにのされた苦い思い出がよぎる。
 もっとも少年が降ろしたのは本物に極めて似た本物のようなものであるので巫女としての沽券には関わらない。だからセーフである。

「あー……俺のこれは……」
「説明はいらないわよ。長い話聞くの面倒だし」
「そうしてくれると助かるよ。俺もうまく説明できるかわからないから。ところで君の――いや、長い話になりそうだから聞かない」
「あら、察しがいいじゃない。私も長ったらしく説明するの苦手なの」

 くすりと笑みを浮かべる霊夢につられ少年も笑顔を浮かべる。
 最初に抱いた冷たい印象よりもずっと温かい雰囲気を纏わせる。

「とりあえず自己紹介かしら。私は博麗霊夢、職業は神社の巫女よ」
「俺は鳴上悠。よろしく博麗さん」
「霊夢でいいわ、悠」
「…………」
「あん? どうしたの」
「俺に惚れるなよ霊夢」
「は? あんたなに言ってんの」
「……ごめんなさい」

 どこかつかみどころのない雰囲気を持った少年、鳴上悠と知りあった霊夢。
 少なくとも今は敵対することはないだろう。
 もっとも――敵対すれば容赦なくぶちのめすし、殺すことも厭わない。

 今回の異変は果たして守矢の連中が引き起こした事件なのだろうか。
 さっさと解決して家に帰りたい霊夢だったがどうやら長引くことは間違いなさそうである。



【1日目・深夜/F-5 千代田区 神田明神】


【博麗霊夢@東方Project】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:異変解決をする。場合によっては殺人も厭わない
1:守矢神社の関係者を探し出し事件について白状させる
2:もしかしたら自分も仮想現実で動く博麗霊夢を模した式神なのかもしれない

【備考】
※東方神霊廟以降からの参戦です
※神奈子と諏訪子を黒幕と疑っています




【鳴上悠@ペルソナ4】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:???

【備考】
※アメノサギリ戦後~黄泉比良坂突入前(イザナミの存在にはまだ気づいていません)からの参戦です
※イザナギの他にペルソナを所持しているかは他の書き手に任せます

 

 

 

004:その罪、万死に値する 投下順 006:XX-weakness
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