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チャリで来た!

「元の世界か……俺の場合はどこのことを指しているんだかな」

 赤いソバージュがかかった髪に垂れた目つきに引き締まった肉体。
 元・シャドウミラー隊隊長、アクセル・アルマーは渋谷のスクランブル交差点の中心にいた。

(強制された闘争か……下らんな。
 『闘争から生まれるものと失われるもの、それは等価値ではない』ということを知らんようだな……
 ……奴の存在も否定される……以前の俺達(シャドウミラー)のようにな)

 一先ずは、あのふざけた男に一矢は報いる。
 そのためには、まずは情報が必要である。

(殺生は……躊躇う必要もないな)

 手段は選ばない。
 自身と敵対するならば、戦うだけだ。
 白兵戦の心得もそれなりにはある。
 自分の身を護りつつ、相手の無力化くらいならば出来る。
 
 武器があった方が素手よりはマシ。
 アクセルは自分に支給されたデイバックの中を確認する……慎重かつ迅速に。
 尤もアクセルは主催者に配られたものを使うなど若干、癪であった。 

「剣? いや、それにしては重たいな。
 ……ゼンガーが使っているような斬艦刀の類か」

 最初にアクセルの目に映ったのは一本の剣であった。いや……
 それは剣と言うにはあまりにも大きすぎ、ぶ厚く重くそして大雑把すぎる。
 まさに鉄塊のようであった。所謂『ドラゴン殺し』。
 
 アクセルは肉弾戦は出来なくはないが、得意の業物ではない。
 重量感があり、防御にも使えそうだが、いざ扱うとなると話は別。

「……使い辛い、これがな」

 普通の人間には非常に扱いにくい。
 その重さを支えるだけ、全体重を持っていかれそうなる。
 それでもないよりはマシ。そんな馬鹿げた武器を手にアクセルは歩き出した直後だった…… 


「あ、危ない!!」


 少女の声が響いた。
 敵襲かつ不意打ちならば、こんなことはしない。
 だが、アクセルはそれは避けきれなかった。
 『ドラゴン殺し』が重くアクセルの動きが鈍ったのだ。




「――――なっ、戦車か……!?」




 アクセルと戦車はドーンと正面衝突した。 
 アクセルの身体が数メートルほど、ふっ飛んだ。
 しかし、上手く受け身を取ったが、歩道に全身を強打。

 ―――――特に頭部に強い衝撃が走った。



 ◆ ◇ ◆ ◇

  
 時遡ること数刻前。
 白髪にボブカットの小柄の少女が慌てふためいていた。

「楼観剣も白楼剣もない……!」

 剣術を扱う程度の能力を持つ彼女―――魂魄妖夢にとってそれは一大事であった。
 妖夢はとりあえず、あのふざけた男は斬りたかった。
 しかし、そのための刀がない。
 あるのは……


「『ふらわ~戦車』? よく分からないですね」


 妖夢の近くにあったのは太極図をあしらったような砲塔を持つ戦車だった。
 ただ、一般的な戦車と違い、ステアリングやら加減速装置は外に全て剥き出しになっていた。
 付属の説明書に『ふらわ~戦車』と書かれていて、簡単な操作法が載っていた。
 恐らくはこれが妖夢に支給されたランダムであろう。

 そして、軽く説明書を読みながら妖夢は戦車に跨った。 

「ここを押せば発進……うわっ!?」

 ガリガリとアスファルトをキャタピラで削りとしながら疾走していく。
 速度は遅くはない、むしろ、オフロードを走る普通の戦車よりは十分に速い。
 しばらく直線を突っ切った後に……


(曲がり角!? どう曲がれば……そうだ!)


 第一のコーナーが迫り、妖夢は少し焦りつつも身体を傾ける。
 でないとこの進入スピードで戦車は曲がりきれないからである。

 妖夢とふらわ~戦車にするどい横Gが掛る。
 鮮やかにキャタピラドリフトに移行!
 最小限の小さなカウンターステアを抑え!

「くお~!! ぶつかる~!! ……わけにはいかない!!!」
 
 そして、妖夢は何を考えたのか、ここで敢えて……
 ステアリングを右にし、アクセル(戦車の方)を、全開(フルスロット)!!
 キャタピラドリフト状態のふらわ~戦車はアウト側のガードレール目指してまっしぐら!!
 それでもまだ曲がりきることが出来そうにない!! だが、次の瞬間!!


「そこです!」


 半霊で弾幕(ショット)を放ち、無理矢理、車体の向きを変える!
 ふらわ~戦車の後部にヒットし、勢いよくコーナーを曲がって行く!!

 傍目から見れば戦車が慣性ドリフトしている。
 こうして無事。第一のコーナーを曲がり切ったのだ。

「……もっとスピードを落としましょう」

 正直、疲れた。
 弾幕を放つのもあるが、何よりそこまで急ぐ必要はない。
 まだ焦るような時間帯ではない。情報を集めてからでも遅くはないはず。

 大分、戦車の運転にも慣れた。
 曲がり角も弾幕を使わずに普通に曲がれるようにはなった。
 だが、慣れ始めが一番怖い。妖夢は調子に乗って加速していった。

 戦車は急には止まれない。

「あ、危ない!」

「――――なっ、戦車か……!?」

 妖夢の乗ったふらわ~戦車が赤い髪の男を跳ね飛ばした。

「……ど、どうしよう……?」

 一先ず、ふらわ~戦車から降りて男の容体を確認する。
 頭を強く打ったのか、気絶しているようだ。

「……安全そうな所に運びましょう」

 自分に非があるのは確実であった。
 一先ず、妖夢は跳ね飛ばした赤い髪の男を背負い、近くの雑貨店に入った。
 

 ◆ ◇ ◆ ◇


 それから30分くらいたったのだろうか……

「……うっ、ここは……?」
「気が付きましたか?」

 赤い髪の男は目を覚ました。
 妖夢が声を掛けた後、男は数秒ほど考え込み、妖夢に尋ねた。

「なぁ、教えてくれ……」
「? 何でしょうか?」
「『俺』は一体、『誰』なんだ?」
「……は?」

 ――妖夢の世界が止まったような気がした。

「わからない、何もかも思い出せないんだ」

 赤い髪の男は記憶を失っていた。
 その男に妖夢は呆気に取られた。
 
「何も覚えてないんですか? それともふざけてるんですか?」
「……ふざけるなら、もっと気のきいたことを言っているよ」
「本当ですか? 自分の名前とか何処から来たのかも?」
「あー……。
 くそ……思い出せない……。記憶喪失というやつらしい……
 身体のあちこちが痛いし……。どうなってんだ?」
「……………えっとですね」

 妖夢は今の状況とその他諸々を話した。
 だが、自分が男を戦車で跳ね飛ばしたことだけは隠した。

「つまり……今、殺し合いの最中なのか?」
「ええ、あ、はい」
「それで妖夢ちゃんは俺を殺す気?」
「いえ……そんな気は無いです」
「よかった、もし妖夢ちゃんが殺し合いに乗ってたら、俺、殺されてたんだな、これが」
「そ、そうですか……」

 屈託のない笑みをみせた男に妖夢は罪悪感を覚えた。
 もし、万一男が記憶を失った原因が自分にあるのだとしたら……。
 そう考えると、気分が悪い話どころではないのだから。

「ん……あ、そうだ」
「どうしたんですか?」
「いや、名前が喉くらいまで出かかってるんだな、これが」

 変なジェスチョンをしながら男は考え出した。
 その様子を、声援を送るような視線で見守る妖夢。そして……


「俺…は……ア…クセル……。
 ……アクセル……アクセル・アルマーのはずだ、多分!」
「多分!?」
「いや、十中八九、アクセルだ!」


 名前だけは何とか思い出した男……アクセル。
 これだけでも、アクセルにとっては大きな進展。
 知り合いがいれば、自分のことを教えてくれるかもしれないからだ。
 何よりも妖夢がアクセルのことをなんて

「じゃあ行こうぜ、妖夢ちゃん!」
「……はい? どこに行くんですか?」
「勿論、俺の記憶探しと殺し合いを止めにさ!」

 殺し合いを止める。
 簡単に言えど、何をやるかは妖夢にもアクセルにもよく分からなかった。
 そして、二人は渋谷の街を歩き出したのであった。

「……そういえば、さっきから思ったんですか、アクセルさんのそれは剣なんですか?」
「これか? んーでかくて厚くて重くて大雑把だな、これが。
 どうだい? 使ってみるか?」
「私には……とても扱えそうにはないです」
「そうみたいだな……まぁ、世の中上手くいかないもんさ、これが」

 【1日目・黎明/C-6・渋谷区・雑貨店】

【アクセル・アルマー@スーパーロボット大戦OG】
[状態]:全身にダメージ(小)、頭部を強く打った、記憶喪失
[装備]:ドラゴン殺し@ベルセルク
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:記憶を探す
1:妖夢ちゃんと行動する
2:殺し合いを止める
[備考]
※参戦時期はスーパーロボット大戦OG外伝終了後~無限のフロンティアEXCEED本編開始前です。
※記憶を失いました。


【魂魄妖夢@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(刀剣類は無い)
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界(幻想郷)への帰還
1:アクセルさんと行動する。
2:刀を探す。
[備考]
※参戦時期は東方非想天則本編終了後です。

※ふらわ~戦車@東方ProjectはC-6・渋谷区・雑貨店近くに放置されています。

 

002:夜食の時間 投下順 004:その罪、万死に値する
  時系列順  
START アクセル・アルマー  
START 魂魄妖夢  

 

 

 

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